また、地下へ降りたくなる。高知・帯屋町「ラーメン天馬」の中華そば。

高知のおまちで、「今日、何を食べよう」と思ったとき。

ふと頭に浮かぶ一杯が、あなたにはありますか。

ごちそうじゃなくていい。

でも、食べ終えたあとに「あぁ、よかった」と思える。

そういう一杯が毎日のとなりにあると、なんだか、強い。

僕らにとって、それが中華そばでした。

 

数段の階段を、降りた先に

帯屋町商店街の一本南、おびさんロード沿い。

人の声と、自転車のベル。

街の音が行き交うその通りに、黄色い「天馬」の看板が出ています。

 

看板の足元から、地下へ続く数段の階段。

 

一段ずつ降りていくと、街のざわめきがすっと遠ざかって、かわりに、だしの香りが近づいてくる。

 

ここが、ラーメン天馬です。

昭和53年から、今も変わらず中華そばを出しています。

 

「毎日でも食べたい」という、欲張りな願い

正直に言うと、僕らがずっと考えているのは、ちょっと欲張りなことです。

 

毎日でも食べられるくらい、やさしい。

それでいて、食べ終えたあとに、ちゃんと満足が残る。

 

このふたつは、ともすればぶつかります。

やさしくすれば物足りなくなり、満足を狙えば重くなる。

そのあいだの、ちょうどいい一点を、ずっと探してきました。

 

たどり着いたのが、いまの特製中華そばです。

 

まずは、特製中華そば(900円)

初めてなら、まずはこれを。

もちっとした平打ち麺を持ち上げると、スープがしっかりとまとわりついてくる。

ひと口すすった瞬間、香りと旨味が、いっぺんに広がります。

 

丼の上には、味玉、チャーシュー、きくらげ、ねぎ、フライドえのき、海老ワンタン、そしてもやし。

賑やかですが、飾りはひとつもありません。

もちもち、シャキシャキ、コリコリ。

ひと口ごとに歯ざわりが変わって、最後までするすると箸が進みます。

 

  • 半熟味玉:自家製の塩だれに、スープを取ったあとの二番だしを合わせて、じっくり漬け込んだ一個。割ると、黄身がとろりとあふれます
  • チャーシュー:低温からゆっくり火を入れ、三段階の温度変化でスープの風味を内側まで含ませています。鼻を抜ける香ばしく芳醇な香りが

 

一杯の下に、いくつもの手間

見た目は、静かな一杯です。

でも、丼の底には、いくつもの工程が積み重なっています。

スープの土台になるのは、鶏ガラ。そして焼豚の豚バラ肉です。

 

低温から三段階に温度を上げながら、時間をかけて火を入れていく。

その過程でじんわり滲み出た旨味を、まるごとスープにうつします。

 

そこへ、地元の香味野菜をことこと重ねて炊いていきます。

 

もうひとつの軸が、和のだし。

椎茸、昆布、煮干し、かつお節。

 

一晩かけて冷蔵庫でゆっくりと旨みを引き出し、

翌日徹底した温度管理の下、香りと深みを生みます。

 

返し(かえし)は、高知の地元の醤油を含めた四種類のブレンド。

香味野菜を合わせゆっくり炊いて、コクと香りを引き出します。

 

最後に、香味油。

鶏からとった澄んだ鶏油に えのきと煮干しの香りをそっと移す。

丼から立ちのぼる、あの香ばしさの正体です。

 

特別な仕掛けはありません。

まいにち、コツコツ、丁寧に。

その積み重ねが、何層にも重なった旨味になって一杯にあらわれます。

 

もう少しだけ、と思ったら半チャーハンを。

もう少し食べたい日は、半チャーハンを一緒に。

スープをひと口。

チャーハンをひと口。

また、スープへ戻る。

 

その行き来をくり返すうちに、気づけば、どちらも空になっている。

 

パラリと香ばしいチャーハンと、だしの効いたスープ。

並べてみると、これがまた、よく合うんです。

 

後半は、少しだけ表情を変えて

一杯をそのまま味わったら、後半は味変を。

 

柚子胡椒、刻みにんにく、シビカラもやし。

 

柚子胡椒を溶かせば、すっと爽やかに。

刻みにんにくを足せば、ぐっと力強く。

シビカラもやしを重ねれば、辛みとしびれ、しゃきっとした歯ざわりで、後半のリズムが変わります。

 

一杯の中に、いくつもの表情がある。

それも、天馬の楽しみ方です。

 

昭和53年から。受け継いで、整える

創業は昭和53年。

それから今日まで、この地下で中華そばを作り続けてきました。

長く続いてきた理由を、うまく言葉にするのは得意ではありません。

 

ただ、重ねてきた時間がそのまま一杯の深みになっている。

それだけは確かだと思っています。

 

受け継ぐというのは、同じことをくり返すこと。

ではないのかもしれません。

昔ながらの輪郭は残したまま、出汁も、かえしも、油も、いまの口に合うように、すこしずつ整え直していく。

"懐かしいのに、新しい。"

そんな一杯を、これからも作っていきます。

<画像: 厨房風景 or 仕込み風景>

階段をのぼれば、いつもの一日へ

食べ終えて数段の階段をのぼると、また街の音が戻ってきます。

お腹はちょうどよく満ちている。

午後の続きにも、夜の続きにも、もう一歩足が軽い。

 

一人でゆっくり食べたい昼。

仕事帰りにお腹を満たしたい夕方。

飲んだ後もう一杯だけ。と思う夜。

 

そのどれにも、天馬はそっと寄り添えるはずです。

ふと思い出したときに、また、地下へ降りてきてください。

 

店舗情報・アクセス

  • 店名:ラーメン天馬
  • 場所:高知市本町2丁目1-21 パームスビルB1F(帯屋町アーケードの一本南、おびさんロード沿い)
  • アクセス:ひろめ市場から徒歩1分/とさでん交通 大橋通駅から徒歩1分
  • 営業時間:昼 11:00 – 15:00 / 夜 17:00 – 21:00(ラストオーダー 20:30)
  • 定休日:なし
  • 電話番号:088-824-8767
  • Instagram@ramen_tenma (最新の営業情報・定休日はこちらで)

 

近くまで来られたら、「天馬」の看板を目印に。

その先の地下で、お待ちしています。

 

※営業時間・定休日は変わることがあります。お出かけ前に公式Instagramでご確認ください。

 

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